第6話

「で。本当に姿見てないの?」


「見てない。…まぁ、でも」



と、珍しく言葉を濁すアヤト。



するとーー、







「黒髪で、聞きやすい声だった。」



「……はい?」



黒髪は分かるけど、聞きやすい声って何?


つまり……、





「アヤトにとって、心地よい声だったってことだね」


「は?」


「だってそう言うことでしょ。もう1度聞いてみたいんじゃない?」


「別にそうじゃねぇよ。」



不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、反対方向に顔を向ける。



まぁ、どうでもいいんだけどね。




「とりあえず戻るよ。あいつらも心配してたから」



「はいはい。」



ベンチから立ち上がり、公園を後にした。








これが、2人のきっかけに過ぎなかった。

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