殺してから吊るすか? 吊るして殺すか? 〈スターリングラード〉

 こっちは、新しい方の〈スターリングラード〉です。


 舞台は同じスターリングラード攻防戦。ソ連軍の若き凄腕狙撃手ヴァシーリー・ザイツェフと、彼に手を焼いたドイツ軍が最終兵器として送り込んできた、こちらも百戦錬磨のスナイパー、中年の少佐の対決。


 何でこの映画だけ主人公のフルネームを覚えているかというと、ディヴィッド・L・ロビンズ著『鼠たちの戦争』を読んでいたから。ちなみに〈ランボー〉で大佐の名字覚えていたのは、「サーモンみたいな名前だなあ」と思っていたから(笑)。

 先日、「『鼠たちの戦争』絶版になりましたよ…!」と、ソ連軍戦車好きの友人(♀)から悲鳴のようなLINEが届きました。マジか。この小説もお勧めなんですが。


 ゴルゴ13じゃないですけど、狙撃手って憧れの存在みたいですね。例によって“ふつうの人”好きの私はあんまり惹かれないんですが。自由にトイレ行けないし。


 撃たれる方からしてみたら狙撃手以上に卑怯で憎らしい存在はないわけで、見つかったら120%復讐されます。敵方に居場所を暴かれてボッコボコにされる狙撃手の話(18禁)とか書いてみたい気がしないでもないですけど、凄腕なら凄腕で「じゃあ何で見つかったんだよ」っていう理由付けが難しいですし、結果が結果だけにリョナな話にしかならないだろうし…その前に、狙撃に向く銃とそうでない銃とか調べなアカンし…(超めんどくさい)誰か近現代史と軍事史と狙撃と軍隊とBLに詳しい人、代わりに書いてくれないかなー(女性狙撃手の話にすると間違いなくドイツ軍×ソ連軍の話になって本当にシャレにならないので、この場合の狙撃手は男で!)。


 映画でも、ソ連の英雄スナイパーをなかなか捕えることができず、手詰まりになっていた少佐は、ある時、雑用係として側に置いていたソ連の少年が、敵方にドイツ軍の情報を漏らしているのではないかということに気づきます。

 姿を見せない好敵手をおびき寄せるために彼が使ったのは…少年。

 少年の小さな体が高い柱にぶら下がっているシルエットがスクリーンに映ります。


 この映画、友人(♀/戦車好きの友人とは別人)と一緒に観に行ったのですが、

「少佐は少年を殺してから吊るしたのか、それとも吊るして殺したのか」という話になり、

「殺してから吊るしたんだろう。少佐はそこまで残酷ではないはずだ」と意見の一致をみました。


 どっちも、「あんな小さな子を戦争の道具にするなんてひどい!」とは全く思っていないことに注意。「敵方に情報流してたら、そりゃ子供だって許されないよね」という認識は共通していたのです。

 …これってフツーの感覚?

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