第2話
洋介は多くは語らないが、父親はあの子の姿を見て食事も出来ないくらい憔悴してしまったらしい。
瀬大も同じだった。連絡が来た時、事件から一夜が開けていて、まず恵冬の事を考えた。
何も知らずに行ってしまったアイツにこの事を知らせなくては…。
意識が戻ったと連絡が入り、そんな事を考えながら辿り着いた病室で見た伊智華は、もう伊智華では無くなっていた。
「伊智華ちゃん…?」
洋介の目は腫れていた。
「俺だよ?瀬大だよ…」
伊智華の瞳には、何も映らなかった。
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