第3話

愕然とした。



思わず握った細い指は、瀬大の手を握り返す事は無かった。





アイツに何て言ったら良いんだ。





「……待ってくれよ……、2人は……これからだったのに……」





零れる涙を拭く余裕は無かった。





見舞いに来た幸太や蓮司も伊智華の様子に言葉を失っていた。




「伊智華……?」


「伊智華ちゃん……」




伊智華の様子の意味が分かると、蓮司は嘘だと首を横に振りながら後ずさりし、幸太はその場に崩れ落ちた。

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