愛の言葉を。

第1話

瀬大が病院を出る頃には、もう日が暮れていた。



腫れた目をこすってゆっくりと歩き出す。



駐車場に入り煙草を咥えると、同じ銘柄を吸っていた伊智華の事を思い出す。










あぁ。俺の愛した日常はもう無くなってしまったのか。












恵冬に寄り添うあの頃の伊智華は、もう何処を探しても………。








絶望感と欠落感が、じわじわと胸の中に広がりまた目頭が熱くなった。

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