第27話

「あ、一ノ瀬さん。お疲れ様でーす。暫く帰って来ないと思いました」


「あぁ、ゴメン。お待たせ」



あたしと休憩が交代のこの子は、あたしと同じ位の時期にこの店に入って来た後輩の冴島。


見た目は派手だけど、仕事はちゃんと熟すしっかりしてる奴だ。



「お客さんいないしここで食べちゃお。一ノ瀬さん話し相手になってください」


「何だよ。また彼氏と何かあったの?」



お絞りを保温機に補充しながら振り返ると、冴島はつけまつげがバサバサついた目を細めて笑った。



「あ、彼とは順調なんです。うふふ。じゃなくて、掛け持ちしてるバイトがノルマキツくて~」



たしか冴島が掛け持ちしてるバイトはイーストのキャバクラだ。

ピンク街やキャバクラ街が多くあるこの街なら、気に入らなければ辞めてまた他の店を探す事だって容易い筈だけど。

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