第21話

「……もう、何も知れねぇのかもしれねぇな。リュウがどうして死んだのかも……」



そう呟いて拳に力が入った。



「……麗」


「平気だ」



犯人とか、事故か事件かとか。証拠とか、……釈然としない事ばかりだった。



リュウの歳に追いつく今年、あたしは……ある決心をしていた。



「あんま、教えたくなかったけど」



そんなあたしの数歩後ろを歩いていた祐輔が、ポツリと呟く。




「ここ数年でイーストは不良のがきんちょグループの抗争でガラの悪い奴らが増えたけど、それと同時に良くないクスリが大流行なんだと」


「はぁ?そんなの前からだろ?」


「まぁ聞け」



振り返ったあたしに、煙草を咥えて火を点けながら祐輔が続ける。

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