第9話

「枝豆だよ枝豆。あと酒があれば良い。黒霧島」


「お前さぁ、いつも思うけど本当に女かよ?どこ探せば枝豆と芋焼酎好きな女がいるんだよ。オヤジよりひでぇぞ」


「うるせぇ…あたしの勝手だろうが?」


「やんのかクソギャル」



むむむ…と睨み合うあたしと祐輔といういつもの光景が見飽きているマナは「早く行こうよー」と歩き出している。





イーストから歩いて20分程の帰り道。あたしのアパートと祐輔の家の調度真ん中の距離の場所には

『漁り火』という居酒屋がある。




酒と言ったら生ビールと焼酎しかない汚い居酒屋で、愛想の悪いオヤジが淡々と店番をしてるショボい店だけど、腹が減ったとなるとあたしたち3人が足が向くのは何故かいつもここだった。




「「お疲れー」」



生ビールのジョッキが二つと焼酎のロックのグラスがテーブルの真ん中でぶつかる。




「うめー…。肉体労働の後はコレしかねぇ」



一気に半分ほど飲み干した祐輔が染み染みと呟く。

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