第2話
要さんがいう事はいつも正しい。
そして、決して間違わない。
間違った所を俺は見たことがない。
いつか酒を呑んだ勢いで要さんにそう言った俺に、要さんは苦笑した。
「たまには間違えたい」と。だけどそれは命ある限り許されないのだ。
ラプターのアンダーボスである限り、
正しい道にソルジャーを導いて生かさなきゃならないのだから。
仲間を、明日に連れて行かなきゃならないのだからーーー。
「俺は今、バルセロナにいる。ボスの警護だ。工藤さんと、それから急遽、俺が緒方もこちらの応援に呼んだからその皺寄せがお前に行っちまった。こちらもかなり緊迫していてイタリアに帰るには時間が掛かる。パレルモの件を任せられるのはお前だけなんだ」
緒方さんと要さんは、ソルジャーの中でも最高位の幹部。相談役の工藤さんは、ラプター社の頭脳で策略家だ。
「いけるか?」
「……はい。俺は日本の事は部下の渋澤に任せて、近々イタリアの案件をメインにして行くつもりです」
「お前がイタリアを仕切ってくれたら、俺や緒方は安心して新規開拓が出来るよ」
イタリアンマフィアと由縁の深い俺たちにとって、イタリアは最重要地区と言える。
シチリアに滞在する事が多いボスの為に、要さんたち一派はいつもイタリアの何処かにいる。
今回、バルセロナに最高幹部が移動したタイミングでイタリアの班が殲滅を受けたのは、きっとそれを呼んだ奴らがいるという事。
「air社、最近勢い付いてますね」
俺の言葉に、電話の向こうから要さんの考え込んだようなうなり声が聞こえた。
「お前もairの仕業だと?」
「えぇ。そう思います」
「………今うちの会社で、関東と関西で勢いのある一派って何処だ?」
「んーそうですね。俺の見る限りでは関東だったら港区の渋澤一派。関西だと先月まで千原が居た心斎橋の一派ですね」
「じゃあソイツらには日本にいるairの奴らの殲滅作戦を指示してくれ」
「御意」
要さんは最高幹部の中でも冷徹だ有名だ。血には血を、を重んじる。
…鬼。その物だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます