第11話
今日はいつもの場所の真上からアコギの音が聞こえてくる。
あの部屋は何室だったっけ?
――…アコギの切な気な音が聞こえて来る。
激しくて、悲し気で、だけど情熱的で。
そんな魅力的な曲を奏でるアコギの音は、いつも同じ所で途切れてしまう。
途切れ途切れのその曲を、あたしはいつも鼻歌で追い掛ける。
ギターがあたしに合わせるように、
あたしがギターを追い掛けるように。
あたしが鼻歌を始めると少しギターの音が変わるのは気のせいなのかな?
切なげな音が、少し明るくなるような、そんな感じ。
この時だけは暑さも学校の事もシュート先輩の事も忘れられる。
きっとアコギを弾いてるのは素敵な人だよね?
――…ギターはいつの間にか止まっていた。
暑さを思い出したあたしはポケットの退学届けを取出してそれで首筋を仰いだ。
今日はもう終わりかな?
真上の教室を見上げながら立ち上がったときだった。
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