第12話

「えっ……?!」



強い風と共に、アコギが聞えてた部屋から何枚もの紙が落ちてくる。



一枚があたしの顔の上に落ちて、よく見たらスコアだという事が分かった。



スコアは強い風の所為で中庭の芝生の上の広い範囲に散らばっていった。



「大変……!」



あたしは中庭の端から端まで走り回ってスコアを拾った。



あの部屋からこんなに沢山のスコアが舞い降ちて来たっていうのに持ち主は礼を言うどころか取りにも来ない。



気付いてないっていうの?



「あーのーう!」



中庭から声を掛けても何も行って来ないし……。



困ってスコアに目を落とすと、それは手書きな事が分かった。



音符を目で追って気が付いた。



「………これ……」



あの歌だ……。あの歌の楽譜だ。



ページ順に並び替えて1ページ目を見てみると、タイトルは空欄になっていた。


その代わりに楽譜の端に



"北神レオ"



とサインしてあった。



先輩かな?初めてみる名前だった。

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