第10話

『……分かりました。でも、友達でいたい……』



未練は、そりゃちょっとはあった。

だから土壇場で出たあたしのその言葉を彼は守り続けてくれてる。



「……はぁ……」



これ程痛々しい事は無いよ。

別れてまだ何ヵ月も経ってないのに、シュート先輩は平気そうにあたしに声を掛けてくれる。



……別れたばっかりの時は流石にへこんだ。

初恋だったし初失恋だったし?



『久しぶり。ちょっと痩せた?』



……そりゃあ痩せますよシュート先輩。

……大好きだったんだから。



さっきの彼の言葉に心の中で返事しながらあたしは中庭の傍にある渡り廊下を歩いていた。



「……あ……」



聞こえる。アコギの音。



あたしは進もうとしていた道を直角に曲がっていつもの場所に向かった。

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