第3話
この場所にいると鮮明に聞こえてくるアコースティックギターの音。
それは授業中や早朝の限られた時間しか聞く事が出来ないから、あたしはこうして此処に来てしまうのかもしれない。
「またHOPEの連中が…」好奇と憧れの混ざる声で、この学校の生徒たちは繰り返す。
「HOPEの連中」を知らないあたしは、軽音部の部室や屋上で、そのアコギを演奏してる人を知らない。
…何人かの笑い声が、開けっ放しの三階の軽音部の部室の窓からもれてる時は、激しいギターのセッションやドラムの音が校舎に響き渡って、アコギの音色は響かないけど
あたしの胸を締め付けるなは遠慮がちに切なく響く、あの音色だった。
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