第3話

駅を抜けて少し歩くとそこはもう田舎のソレで。



濡れた地面にうっすらと浮かぶ靄や伸びた枝を揺らす冷たい風は、街灯の無い道を余計に寂しく見せた。



俺のマンションは都内にある。

しかし数週間前から、俺は都内から電車を乗り継いで片道2時間以上掛かるこの街が帰る場所になっていた。


温泉が少し有名で観光客なんかもちらほら居るけど基本的には静かで寂れた自然の多い街。



東京生まれ東京育ちの俺には、何もかもが新鮮な景色だった。


始めてこの駅に降り立った時は、緑の匂いがする…なんて目を丸くしたりした。



今となっちゃ週に何度か東京に帰る度に、その空気の淀みに眉をしかめるようになった。




体は素直だ。悲しい位に。



「瞬くん。今日お家行っても良い?」



ほら。夜になるとなり出す下心丸出しの電話の対応に苦笑させられる。



「だーめ。つーか俺、東京にいねーし」


「え~?どうして?ヌイてあげるよ?しゅーんーくぅーん」




か……!女子が言うセリフかそれは。……つって、そんな女ばかり周りに置いといた俺も俺か。

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