転生の儀

365日後……



「ちょうど1年が経った、そろそろいいだろう」



私は日課になった図書館通いを切り上げ、転生することにした。



この1年は充実していた。



神界では、いつのまにか有名人になっており、たくさん神様の知り合いができた。



「人間モドキ」


「バケットモンスター略してバケモン」


「ビックリ箱」


など、


散々な言われようだったが、


どうやら私、人間にしては強いらしい。



途中からは、剣神、武神、魔神、などにも稽古をつけてもらい、


いい勝負ができるようになった。



「おい! ダン! ワシと勝負しろ!」


「お前も神にならないか?」


「もう魔神はあなたでいいです」



結構引き止められもしたが、私はどうしても転生したいのでやんわりと断った。



そして、私はナナさんのもとへと向かった。



「ナナさん、お久しぶりです。転生の準備ができました」


「ダンよ、待っておったぞ。しかしずいぶんと強くなったな」



そう、私は強くなった。


最高の環境で最高の指導を受け、1年前とは見違えるほどだ。



「ところで、特典チートは何にするか考えたかの?」



特典チートについては、転生後に決めます。


切り札として使いたいので」


とある計画・・まで、温存しようと思う。



「うむ、わかった。


……ではこれより転生の儀を執り行う。


転生魔方陣、起動。」



パアァー……



暖かい光が私の体を包み込む。



ああ、やっと……冒険が始まるんだ。



「「「ちょっと待ったー!」」」



え!?



「おい! ダン! ワシの加護をくれてやる! ありがたく受け取れ!」 ホワッ


「神になることを心待ちにしているぞ?」 ホワッ


「やりすぎないでくださいね」 ホワッ


「通りすがりのおいらもあげちゃうよ」 ホワッ


「俺も」 「私も」 「ボクも」

……



剣神の加護 を 習得しました


武神の加護 を 習得しました


魔神の加護 を 習得しました


農業神の加護 を 習得しました


鍛冶神の加護 を 習得しました


商業神の加護 を 習得しました


娯楽神の加護 を 習得しました

……



神の加護はものすごく貴重なのに……


こんなたくさん……



こうして私は、大量のチート能力を習得して転生した。




―神界にて―




「いってしまったか……」


「そうだな……」



神界の神々は、ダンが転生したことに寂しさを感じた。


神々にとっては、神界に弱々しい人間がやってくるのは珍しかった。



だからだろうか?



いつの間にか、ダンを手助けし、技術を教え、強くさせることが神界全体でブームになった。



「心配だな……」


「うむ……」



そして1年もいれば情もわくし、心配もする。



ただその心配は、



「「「強くしすぎた」」」



この一言に尽きた。



~~~~~~~~



神界で修行したダン。


あらゆる知識を蓄え、あらゆる技術を身に着けた。


その上で特典チートを選ばずに温存する選択を取った。


ダンはなぜ? 特典チートを温存しようと思ったのだろうか?

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