第26話

もうこうなったら洗いざらい話してしまった方が楽なのかもしれない。

どうせ教えなかったらこの子あとで面倒なことしてくるんだろうし……




「この家は私の持ち物なの。」


「え、で、でも…」



でも、だって。

これで何度私が悪者にされたかわからない。


しかもタチが悪いのがすぐに泣きそうな顔をするところ。



裏ではいじめっ子やってるくせに。




「しつこいなぁ…ホンマに理解出来へん子やな。」



恭多が痺れを切らしたようにイラついた声で言葉を発する。




「恭多に言われたらおしまいだよね。」


「ふはっ。確かに。」



叶汰のツッコミに私も思わず吹き出す。




そんな私たちに見向きもせずに奥山陸が疑問を口にする。




「ちょっと待て。そしたらお前…双子の姉も杉元じゃ…?」


「はぁ…やっぱ馬鹿ばっかりね…久遠の名前も知らないの?寿皇芽都。貴方なら分かるでしょう?」


「うん。久遠って言ったら世界トップクラスのヤクザ…久遠組だよね?」


「えぇ。さすが寿皇組の若頭ね。私は久遠組の人間なの。お母さんが私を捨てたのよ?」



寿皇芽都は流石の情報量。

そして多分私たちの母親の私に対する暴行、暴言の経歴も知っているはず。




「俺も一応裏の人間。」


「こちら側にいる人は全員裏の人間じゃない。」



風斗がつまらなさそうに会話に混ざりにくる。


こちら側というのは…風藍鬼のメンバーとお兄ちゃん。



「藍樺。叶汰、一応…カタギの人間…」


「叶汰は裏のお店の管理してるから裏の人間と言ってもおかしくはないと思う。」


「そっか。」



蒼威は少し話すと納得したように頷いてまた黙ってしまう。




「うん。今、この家にいる人で一般人なのはお母さん、紗亜耶、奥山陸、楠木夜斗…そしてギリギリ一般人の寺角爽汰と、私の専属以外の使用人たちよ。」


「あー…魁は若頭補佐役でもあるんだっけ?」




風斗が思い出したように口を開く。



そう。専属使用人の魁は若頭補佐役をしてる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る