第25話
ため息を吐いてどこに座ろうかと考えていると、
"ギュッ"
後ろからいきなり誰かに抱きしめられた。
そんな爽やかなシトラスの香り…私はこの人を知っている。
「理事長…」
「お兄ちゃん…突然後ろから抱きしめないでよ…」
流石の風斗も突然現れるとは思ってもいなかったらしくお兄ちゃんの登場に驚いている。
気配と香りで気付いてはいたけどやっぱり背後から抱きしめられると驚くに決まってる。
「おう、藍樺。」
陽気にも私に挨拶をしてくる兄。
「「「理事…お兄ちゃん?!」」」
生徒会の奴らはみんな驚いてる。
そりゃそうだって感じだけど…
「お兄ちゃんって…?私たちにはいないはず…」
「いないね。紗亜耶には。奏さんは私のお兄ちゃんだから。」
「え…ど、どういうこと…?」
どうやら紗亜耶は理解できないらしい。
まぁ…この子ちょっとお馬鹿なのよね…
あとお母さんの過保護のせいで何もきかされていn...「あの母親何も教えてねーのかよ…」
ボソッと風斗が呟く…
私もほんとにそう思う。
「紗亜耶は知らないけれど、紗亜耶の戸籍は杉元なのよ。杉元紗亜耶。」
「杉元って…あの美容系の会社の?」
「そう。お母さんの会社。あぁ…潰れたんだっけね。久遠はお父さんの姓よ。あぁ…ちなみに、お兄ちゃんはお父さんの現奥さん、可菜さんの息子さん。」
「え…現奥さんって…パパの奥さんはママじゃ…」
…こんなお馬鹿でよく生きてこられたもんだ。
「ほんとに何も聞かされてないのね。お父さんとお母さん、私たちが中学生の時に離婚してるのよ。」
「え、でも毎日このお家に居るよ?」
あぁ…この子はほんとに何も知らないのね。
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