第4話 皇帝に拝謁
感動の面会?から三日後に皇帝に拝謁が決まり、今日がその日である。
侍従の俊宇を伴い皇帝執務室の隣にある応接の間に向かった。
応接の間に到着したので俊宇が侍中に用向きを告げた。
侍中が 「浩然様がお見えになられました」と奏上した。
それに続き、「浩然です。皇帝陛下に快癒のご報告に参上致しました」と自ら奏上した。
一連の奏上のやり取りを終えると、「許す、入れ」と皇帝の許可がおりた。
入室すると、正面の玉座に皇帝である父 李 精英(リー ジ イン)が、脇に皇后で母の楊 芷瑶 (ヤン ヂーイャォ )、皇太子で兄の李 宇然(リー ユーラン)、貴妃で義母の黄 乐瑶(フゥァン ライャォ )、その娘の公主で義母妹の思妤(スーユー)の皇族一家が並んでいた。
また、身内である左丞相で叔父の李 星宇(リー シンユー) 、右丞相で叔父の黄 子睿 (フゥァン ズールイ)も列席していた。
拱手をしようとしたら、「かまわん、礼は要らぬ」と皇帝が止めた。
「父上、この度はご心配をおかけして誠に申し訳ございません」
「母上、乐瑶母上、兄上、ご列席の皆様、ご心配をおかけして誠に申し訳ございません」
「朕も一時は心配したが、息災のようで安心した。侍医から異状なしとの報告があり、皇后からも元気な様子を聴いておる。その後問題はないか」
「勿体なきお言葉恐縮です。今後も精進してまいりますのでご指導のほどお願い申し上げます」
「ならば、良い」
続いて兄で皇太子のが傍まで歩んできて、肩に手をおき声を発した。
「浩然、あまり無茶をして周りに心配をかけるな。とにかく息災な様子と顔を見て安心したぞ」
「兄上、肝に命じます。ご配慮ありがとうございます」
「浩然、この前に合ったより顔色が良くなったわ。でも、暫くは何事も控えめにね」
「はい、母上。仰せのお通りに致します」
「浩然様、あまりご無理をなさらぬように」
「はい、 乐瑶母上。そのように努めます。
「浩然兄様、もうお元気なられたのでしたら、思妤がお部屋に伺っても良いでしょうか?」
「思妤、好きな時に来ても良いよ」と言うと、思妤はパッと顔を輝かせた。
「浩然皇子、それでは帝王学の講義と礼法のおさらい、政務へのご参加などを再開致しましょう」と左丞相が進言という体ではあるが、有無を言わさぬ無情な声で一方的に告げた。
「浩然皇子、体調が万全になられましたら、同時に兵法の講義などもご様子を確認しながら進めましょう」と右丞相も同じく人の気も知らずに攻めてくる。
まったく、二人の叔父は揃って情けというものを知らぬ鉄面皮の御仁だと今更ながら思う。
皇后、貴妃、兄、義母妹、左丞相、右丞相からそれぞれの言葉を賜ったが、耳が痛く気も滅入るものばかりである。(それにしても義母妹の思妤はかわいい・・・)
そうこうしてるうちに、お詫びとお礼を述べる拝謁は無事に済み、転生がバレやしないかと緊張していたが、ほっとして応接の間を出た。
終わったことで気が抜けてぐったりとしてしまう。
その気分を引きずり重い足取りで自分の宮に戻った。
部屋に入ると寝台に直行し、ダイブした。
「疲れた・・・・」と呟くと瞼が自然に降りてきて意識が飛んだ。
こうして苦行の長い一日を終えた。
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