第12話 ニュース

『僕、隣の部屋なんです』


微笑む口元はマスクで見えない。瞳は笑っている。



「一一夢か」


つけっぱなしのテレビからは、夜のニュースが流れている。音がうるさく感じボリュームを絞りつつ眺める。寝落ちしてしまった様だ。


コメンテーターとキャスターは人間、タレント枠にはミアという人気のダンピールであるアーティストが座っている。彼女は顔色が蒼白いが、メイクで綺麗にカバーしている。


『「ヴァンパイアが現れた」というSNSでの目撃情報が相次いでいますが、その点についてどう思われますか?』


『そうですね。、フェイクニュースではないのか、そこを疑うべきなのではないですか?』


人間はコメントをふられているが、ミアというダンピールは頷いているだけでコメントを振られていない。ダンピールユニオンからの指示なのかもしれない。


『次のニュースです。ところで、ミアさんに質問なのですが、この鳥は何だかわかりますか?』


『えっ、これって…かわいい』


話題が移った途端にミアの大きな瞳にカメラがズームする。


ダンピールに求められる役割も、時代により様々だ。以前はヴァンパイアの退治優先、そして今は一部の精鋭のみが、警察と連携をとり彼らを退治するため、その他大勢のダンピールはエンタメ分野他で社会に参加しているのだ。


ヴァンパイアにもしも会ったら

出来ることはあるのだろうか?


ダンピールユニオンの動画では、彼らに会ったしまった場合の動きや連絡先を伝えている。


「この通りに出来るかな。わっ、、ん?」


不安を覚えていると、突然メッセージがはいり驚いた。


『連絡来ないから来ちゃいました♪』


担当の柚木だった。


「どうしよう…全然進んでないのに。でも、エッセイは書けてたか」


「四宮さん!出来てますか?」


口は笑っているが、茶系のフレームの眼鏡の中の目が笑っていない。


「も、もう少し、かな。良かったのに、、来なくても」


「勿論。連絡下されば、僕だって来ません。えーと、ちょっと拝見します」


「あ、今こっちは出来てて、送信、と。後はまだ」


「成る程。ありがとうございます。もう続編は難しそうです?」


チラリと冷たい視線を投げられる。身長も標準位であるし、顔も兎に似たかわいい系なのに恐怖だ。


「鋭意執筆中…です。だよ、はい」


「期待してますけど、あんまり遅いと」


辛い

そうだ、あれを使おう!


「あ!」


「あ?」


柚木がふいをつかれて目を丸くした隙に、キッチンに購入してあったビールを持ってきた。


「ビール、前に貰ったんだけど、俺は飲めないから。はい」


「いいんですか?これ、新商品だ。すいません、ありがとうございます。ちょうどきらしてたんです。じゃあ、そろそろ…失礼します」


「うん。また」


確信犯っぽいけど


いい笑顔を浮かべると、去っていった。
























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