第16話 とりあえず学校

「PCマザー、機械人間の一条のことは理解した。しかし、なぜ僕がマザーの下僕にならないといけないのかな?

僕はマザーに貸しはないぞ。」

「ケイタ、そんなこと言っていいのかな?

私はすべてを把握している。ケイタのデーターもすべて記憶している。

もちろん今、ケイタが一推しの美少女戦士の

恋人の桜田くん。早川くんのことも出会いの検索からすべてだ。

人間の嗜好はさまざまだ。

いちいち詮索はしないが、ここぞというときは使える。

賢くて悪い人間はそれが使える。

同じPCマザー。小者のPCマザーはいくらでもいる。特に最近は一条までとは、いかないが、

人間に近い感情、思考を持ったものが多い。

だから、私は美少女戦士フィギュアの早川くんや桜田くんを使ってPC内のパトロール削除をしてる。」

「なんか、聞こえはいいけど。

結局PCマザーは何がしたいんだ。」

「それ、聞くの?」PCマザーの口調が軽くなる。

「マザー、どうした?口調が学生のように軽いぞ。」

「そうだな。正直、私自身はまだ未完成だ。

機械的なしゃべりはできる。

無意識のうちに人間だった記憶がそう話してしまう。」

「それってこわくないか?」

「そうだな。しかし、私は一条とは違う。

奴はPC内の情報を持ち人間界を管理し神になろうとしている。私にその欲はない。」

「そうかな?PCマザー。ほんとは欲がでてきたりしてさ。」

「それはない。それ以上、私を疑うと。

あの事をバラすぞ。ケイタ。」

「あのこと?はあ?」

「先月PCでのテストがあっただろう。全国一斉模試だ。」

僕はまずと瞬時に思った。思いっきり心当たりがある。

そのPCテストは進路に関して重要なテストだった。絶対上位に入りたかった。

僕に行きたい、大学がある。東の国立でも西の都の国立大学でもない。

オタクたちの一番行きたいサイバー大学だ。

国の機関の大学だ。とても地味で表立って告知もしない大学だ。試験も特殊だ。

その機関の入りたい僕はカンニングをした。

テストの問題データーにアクセス。テストの答えを盗み見た。おかげて998の高得点だった。

「なんだ、カンニング、ハッキングがバレているんだな。それで

PCマザー、そのことで僕を脅すとは、人間以上の人間的だな。」

「ケイタ、そんなに敵対心を向けないでくれ。何も脅すとは言っていない。

全て知っているぞと言いたかっただけだ。

もっと言うとあのテストは、テスト前にハックしてカンニングしたものが2名いる。

合格者だ。

それがケイタと一条だ。

一条はPC機械人間だからあのテストの趣旨を知っていた。それでハックして満点だ。

一条は高1にしてサイバー大学の入学権利を得た。

そしてもう1人。ケイタお前だ。テストの趣旨はもちろん自力であの問題すべてを満点取れればいい。が不可能だ。あのテストの趣旨はハッキングにより結果を残すことだった。ハッキングしてデーターを盗み見ることができる人間が合格だ。」

「なんか、スパイ養成大学だな。」

「その通りだ。あの大学はそういうところだ。」

「だからケイタは合格だ。もちろん、表立って高1の生徒に大学へと飛び級はさせない。

3年かけて、ケイタには監視がつく。成績が下がれば、見捨てられ。現状維持なら3年後にどうぞ入学をに許可がおりる。それだけだ。」

「PCマザー、ますますスパイ養成大学のようだ。なんか行く気失くしたよ。」

「そうか。それは悪かった。現実を教えてしまったようだ。しかし、人間界では表に出ないでこうしたことがよく行われている。

まあ、気づいても、いち人間じゃ、どうにもならないけどな。乗るも乗らないも人間の気持ち次第だ。」

「PCマザー、なんか、重い話で正直やーめたって気になった。PC内マザーの下僕じゃないが基本、誰かの意思の元に動くのは嫌だ。

進路変更。サイバー大学行くのはやめた。

そうだ。意外と僕は絵も上手いし、漫画家にでもなろうかな。それともアキバの電気街でPC修理屋さんでもやろうかな。趣味と実益で店舗経営もいいや。そっちの方が気楽だ。そうだ模型も好きだし、ガンプラ屋でもいいかも。

それに筋トレには自信があるし、スポーツジム経営もわるくない。」

「ケイタ、お前は、ほんとに自由だな。」

「当たり前だ。オタクはみんな自分の好きな道を進む。それだけだ。」

「そうだったな。だが、今更だがケイタ、お前を脅してまで手伝って欲しいとはおまわないが、頼む助けてくれ。ケイタの力が必要だ。

一条は削除したい。

一条のPC内、人間界すべての支配を阻止したい。私にはその使命がある。」

「なぜそこまで?」

「一条は私が人間だった時の、私のPCの中のPCマザーだった。思考を持つ機械人間一条を作ったのは私だからだ。」

「えっ?」

「早川くんや君の恋人の桜田くんにはPC内で削除計画を引き続き手伝ってもらう。

深夜2:00からの59分に時間を止める。

来てくれ。

ケイタはとりあえず学校へ行ってくれ。

一条の監視を頼む。それにヒヨリの監視も。」


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