第14話 PC内に引き込まれ僕

「マザー、説明してくれ。僕は早川くんから

PC内パトロールは2次元キャラが自分を

推してくれるご主人様を守るために行っている。

データー活動が低い深夜2時から2時59分に

時間を止めて人型に変身。

不利益情報を吸い上げ、君に2次元PCマザーに

送信。削除依頼をしている。

そう聞いている。

僕のオタ友も同じことを言っていた。

個人を守るため。いいことだと思うけど。

間違いないよな?」

「そう、その通りです。」

「マザー、君は嘘つきだ。目的はなんだ。

はじめは個人をネット上の噂から守る。

個人的小さな防衛。

しかし、大きく言うと世界平和のためだと理解していたが。それは違うよな。僕をPC内に閉じ込めて分かった。

PC 内では回線のログインの奴の顔まで分かる。

外の人間世界では無数のヒカリデーターが飛び交い、発信元をたどりつくのは無理だ。

しかし、PC内では見えすぎるくらい、情報は

丸裸だ。

マザー。何をたくらんでいるんだ。」

「さすがだ。ただのオタクとは違うな。

早川の報告である程度の情報は得ている。

一見ただのモブのオタクだと思っていたが。

検索もゲームもだ。

美少女戦隊モノが好みだな。

一貫している。尊敬する。」

「そうだ。悪いか!それ以上言うと

今すぐ切断するぞと言いたいがここはPCの中だ。くそー。逃げられない。」

「悪くないぞケイタ。嗜好はそれぞれ個性だ。

そこは2次元PCマザーとして大人だ。

深く追求はしない。

それよりケイタに尋ねたいことがある。

 ICHIJYOを知っているか?」

「あー、知っている。同じ高校だ。」

「仲はいいのか?」

「良いわけないだろう。アイツは表向きオタクを隠している。

隠している時点、僕に言わせればアウトだ。

それに嘘つきだ。チャラ男だ。」

「そうか。ケイタにも色々あるようだな。」

「そうだ。高校生は何かと大変で面倒で忙しい。

考えることも多い。

でマザー、一条がどうしたんだ。

そう言えば思い出したぞ。桜田くんが、

2次元PCマザーを一条が

攻撃していると言っていた。」

「そうだ。一条は私のPC源まで到達しようとアクセスしてきている。

私の仕事の邪魔をする。

私は正義の味方でもヒーローでもない。

ただこのPCデーター内から外の世界を少し動かしたいだけだ。

情報が溢れすぎている外の世界。必要なところだけを切り取ればいい。

欠落した情報を人間はバクのせいにして曖昧に処理してくれればいい。

PCは正確、狂いがないはない。

私はバクであり、PC内の神の存在だ。」

僕は少し引いた。確かに正論だが引いた。

まるで人間が神になりたいとあがいているのと同じだ。

それがPC内でも神になりたいという。

「マザー、君のいうことはまるで僕らの人間界の人間的思考に似ている。

君はPC機械じゃなくてほんとは人間なんじゃないか?」

「なんだ、ばれたか。そうだ私はもと人間さ。

人間社会が嫌になって好きなPCにはまって

ほぼ24時間PCを手にしていた。

気づくと中にいた。そして私は人間にいたずらしようと軽く試みた。

PC内ではログインの相手の顔まで見えるし楽しかった。

もちろん誹謗中傷する悪いログには逆に暴露するようにデーターを書き換えた。

そうだな正義の味方ごっこをしていた。

結局、私ももとは生身の人間だからな。

そうしてしばらく一人でPC内活動していた時に深夜2時から2時59分が人間界のデータの停止時間だと分かった。

そして私は時間を止めることができた。

PC内で神になりたい私へのご褒美だと思った。そして同じ頃に2次元キャラたちと話ができるようになり、彼らを実体化させた。

あとはケイタも知っている通り早川くんたちからの情報を吸い上げ削除。」

「マザー、話を聞いただけじゃ、いい人っぽいけどね。君。」

「ケイタ、ありがとう。でも正直、私は調子に乗り過ぎていたようだ。PC内の管理把握は神と同じ領域だ。勘違いしていた。

そこに一条が私にアクセスして来た。

彼は。彼は人間じゃないんだ。

PCそのものなんだ。ちょうど私と逆だ。

ただ一条は危険だ。彼は人間界もPC界も支配しようとしている。危険な人物だ。私は彼を削除しなければならない。

ケイタ、君の力が必要だ。」




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