第13話 深夜2時のPC2次元マザー
僕はフィギュアに戻った桜田くん、早川くんを眺め、机に座った。
さっきまでの池袋での出来事を思い返していた。
僕に関係のある人を助けると書き換えられた
2次元PCマザー。
早川くんの仕事は。
あれは、ひっったくりからヒヨリを助けたことだったのか?
ヒヨリが僕と大切な人?
僕はヒヨリと関係がない。
頭の何かをかき消すように
「ただの幼馴染だ。」と口に出した。
フィギュアに戻った早川くんを手に取り聞いてみる。
「ヒヨリのことだったのか?」
『そうよ。』と首を縦にする。
答えてくれてありがとう早川くん。
僕にとってヒヨリは、ただの幼馴染。
それだけだ。
机がカタカタ揺れた。
「地震か?」
いや。揺れているのは机だけだ。
フィギュアの桜田くんがカタカタ揺れる。
「そうか。焼きもちか。大丈夫だ。
桜田くん、君は僕の恋人だ。」
落ち着いたところで僕は、PCに向かった。
オタクの僕は、表だっては言えないが、その辺のちょろいハッカーよりハッカーだ。
まあ、フトシもシュウジもそうだが。
大体みんなそうだ。特に2次元オタク達は強い。
脳内自己完結会話をして僕は、さっそくPCに向かった。
いつも通りのログイン。
うん?
入れない。なぜだ。
文字が浮かんで来た。
怪しいが、たぶんパスワードだ。
オタクハッカーの衝動が走る。
僕は素早くパスワードをコピー打ち込んだ。
ログイン。
警告文だ。
『関係者以外ログインを禁じます。
警告を破られた場合にはデーター内に
監禁させていただく場合があります。
管理者2次元PCマザー』
僕はサラッと警告文を読み、ログインした。
アルファベットに数字、記号がずらずらと
かなりのスピードで表示されて行く。
さすがの僕も目がついていかない。
不審なログがかなりある。
そこはオタク的な感で飛ばして行く。
なぜだろう。
不規則なログに引き込まれていく。
目がだんだん慣れてくる。
自動で表示され続けるデーターが
突然止まる。『ログインしますか』はい。
無意識に口で脳内表示ログインしてしまった。
PC画面い黄色と黒の点滅が。
『あなたは許可を得ていません。警告を破られました。データー内にこのまま監禁します。』
えっ?
僕は僕のPCの画面に吸い込まれた。
数字と記号アルファベットが空間内をすごいスピードで飛んでいく。
無数のログが見える。ヒカリのデーターは無数の線でつながっている。
PC内の構図が見える。
変な感覚だ。見ているだけでログの元が見えてくる。
「なんだ?」
PCを打ち込んでいる奴の顔も見える。
それに時系列も見えて来た。
なんだこの感覚は。
まるでPC内の管理人になった気分だ。
このデータは日本国内。こっちのデーターは経由が多すぎる。
たぶんブラックデーターだろう。
僕はデーターを追った。
やっぱりだ。入力している奴の顔も見える。
『この文章を見た人は下記口座に至急入金ください。あなたのパソコンはウイルスに侵されています。セキュリティより。』なんだ、もっともらしい文章だが、意味はない詐欺メールだ。
僕はもう少しそのデーターを追った。
ログインの出口に顔がたくさん見えた。
たぶん、ひっかかった、カモさん達だ。
確定をエンターしようかどうか迷っている人たちの顔が見える。
「これは詐欺だよ。」口にした。
迷っている顔が突然消えた。接続コードを抜いた。「正解だ。」
しかしなんだこの感覚は。
「このヒカリのデーター線は。」
オタクハッキング心が騒ぐ。
「たぶん、これは世界中のログ側の空間に僕はいる。ほんとうにPC内に吸い込まれたようだ。」
脳内完結会話をここでにしよう。
「まあ、いい。監禁された。しかもPC 内だ。
誰も僕に気づかないだろう。
気づくとすれば、僕を閉じ込めた。
君、2次元PCマザーだけだ。」
僕は気づいていた。僕は2次元PCマザーに呼ばれて、このPC内に吸い込まれたんだ。
「そうだよな。2次元PCマザー。」
「そうですね。正解です。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます