第12話 ICHIJYO削除計画

桜田くんと早川くんの関係はなんとなく、

分かった気がした。

「姉でボス的が桜田くんで早川くんは妹キャラ的な感じかな?」

桜田くんがすぐさま反応。

「ケイタ、なぜ私が姉で早川が妹キャラなの。」

あっしまった。頭で考えたことがつい口に出てしまったようだ。

早川は妹キャラがうれしいらしく、怒っていない。

「しかし桜田くん、しょうがないだろう。

本当のことなんだからさ。

美人なのに口が悪いし、態度も男の子ぽくって、残念だ。」

桜田くんが怒る。「仕方ないでしょ。PC内パトロール隊、女子ばかりで誰かが、しめなきゃいけないでしょ。

それとも天然の早川に隊長やってもらうの?」

僕は即答。「それは無理だ。早川くんには荷が重すぎる。」

「ほらねケイタ。私がやるしかないじゃん。」

「だな。でもさ桜田くん。今は僕がいるだろう。頼れよ。」

僕は桜田さんの頭をなでた。

「桜田くんはやっぱり可愛いな。」

強気の桜田くんの顔が少し緩む。

「桜田くん、気負い過ぎなくていいからね。

それに僕の恋人なんだからやっぱり可愛い美人の桜田さんでいてほしいしな。」

「なによそれ。ケイタずるい。」

早川くんが割りこむ。

「何々、2人で、いちゃついてるの。

だめだなあー。

これから大事な仕事、PC内パトロールがはじまるというのになあ。」

桜田くんが照れながら「早川、何もないぞ。

大丈夫だ。」

早川くんは天然だが、その辺のことには敏感らしい。

「そうなの?」っとわざと僕と桜田くんの間に入って、桜田くんに抱きつき邪魔をする。

まあ、いいや。

「で、君達、今夜2時からのミッションだが。打倒一条。これでいいんだよな。」

「そう。一条がすべての黒幕よ。早く削除しなければ、私達の大切な2次元が消えてしまう。ケイタとも会えなくなってしまう。

そのためにも絶対に2次元PCマザーを守らなきゃ。」桜田くんが力説する。

早川くんも大きくうなずく。

「そういえば、君達、深夜2時じゃないのに、こうして人型になっていいのか?」

早川くんが「いいのよ。今は特別。

2次元PCマザーから連絡があったの。

桜田さんがケイタに購入されてここへ来るってね。

だから1時間だけこの姿なの。」

「PCの決まり事、厳しいんだね。」

「当たり前でしょ。PCは1秒違っても駄目。 入力も1文字間違えただけで全く別データーで全く知らないところに飛んでしまうでしょ。

PCは危険でとてもデリケートなのよ。」

「そうだな。そう言われればその通りだ。

単なる機械としかPCを見ていなかったからな。でもさ、フィギュアの早川くん、桜田くんがPCマザーの代わりに人型で動いていると、ほんとに生きてるみたいだな。」

桜田くんが「ケイタ。私達は生きてるわよ。

ほらね。コツン。」

桜田くんのゲンコツが僕の頭に落ちる。

「ケイタ、痛いでしょう。」

「痛い。」

「ほらね。」っと僕に桜田くんが抱きついて来た。

「どう?暖かいでしょう。」

「そうだね、暖かくて柔らかい。」

「キャー。ケイタのバカ。

何?変なこと考えてないよね。」

「大丈夫だよ。それに抱きついて来たの

桜田くんの方だよ。」

「えっ、そうだったわね。あのね教えていたかったの。早川も同じだけど。

ケイタ達、人間はカラダの中の血液が動きまわって、カラダが暖かいんでしょう。

私達、2次元の物体?人型、ロボットやぬいぐるみもそうだけどカラダの中にPCマザーから送られるデータが流れている。

そのデーターは熱を帯びているの。

だからケイタ達、人間と同じように私達も暖かいのよ。」

「へえーそうなんだ。納得。」

桜田さんはふざけてまた僕を抱きしめた、

えっ?

「ケイタ、時間切れ。また深夜2時に。」

桜田くんと早川くんは元のフィギュアの姿になって僕の机に並んだ。




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