第11話 フィギュア桜田くんと早川くん
「犯人が一条か。」フトシがつぶやく。
シュウジが「一番、オタクの僕らと遠い奴だな。しかしも、なんとなく犯人か、わかる。」
フトシが「でもさ、なんかズルくない?
この前の体育のランニングでもさ、
結局、高校駅伝大会代表は陸上部の上田と一条で決まったよな。
仮に一条が犯人でPCオタクだとして、運動もできるとは許せない。」
シュウジが「なんだそれ?」
「それに女子にもモテる。」
シュウジがフトシにつっこむ。
「フトシ、それは単なるひがみだろう。」
「それはない。」2人はふざけ合ってる。
が僕もなんとなくだが動物的感が働く。
犯人は一条で間違いない。
さっきの池袋Sのエスカレーターでヒヨリ達と
合流していた、一条。
嘘を脳の書き換えでほんとのことだと思い込んでしまう危険な奴だ。
友達になってくれと言われても、けっこうですと言ってしまうタイプだ。
それより僕は、さっきから目の前に座っている
小さな2,3歳の男の子がじーっと僕らを見てる視線が気になっていた。子供は敏感だ。
子供は僕の袋の中の桜田くんに
気づいている。
「桜田くん。詳しく話は聞きたいが。
人が多くなってきた。
いくら袋の中のフィギュアでも口が動いて
カラダが動ていれば怪しく思われる。
特に小さな子供には気をつけろ。」
フトシとシュウジも「そうだな。この話の続きは明日だな。」
「そうだな。」電車が止まる。駅に着き僕らは別れた。「じゃあ。」「明日。学校で。」
僕は桜田くんを抱えて、家に戻った。
夕方4時。中途半端な時間。
姉貴はコスプレの池袋からもちろんまだ戻っていない。
母さんたちもいない。
僕は自分の部屋へ入った。瞬間。
フィギュアの早川くんがニューっと変身。
人型になって目の前に。
袋の中の桜田くんもニューっと変身。
人型になった。
早川くんは僕に言葉をかけるよりも先に
桜田くんに抱きついた。
「桜田さん。うれしい。久しぶり。
会いたかったよ!」
桜田くんは顔はひいているが嬉しそうだ。
えっ?
僕は「早川くん、桜田くんは君のライバルじゃないのか?
桜田くんは早川くんを選んで先に購入したことをすごく怒っていたぞ。」
「えっ?そんなことはないよ。
ケイタが桜田さんの推しってことは私達は知っていたのよ。
ただあの時、桜田さんには任務があって、
私が先にケイタの元でPC内パトロールすることになったの。
だから、あの時、ケイタには悪いけど、2次元の脳内操作で私を購入するように操作しただけ。
だからあの時は、桜田さんのことライバルだと思ってなかったけど、
今は私はケイタのこと大好きだよ。大事にしてしてくれるしね。」
横で桜田くんが怒ってる。「桜田くん、怒っちゃだめだよ。」僕はなだめる。
「私は怒ってなんかないぞ!」
早川くんは天然なのか「桜田さん、焼きもちはだめですよ。」
「そんなことない!」
桜田さんがお余計にカリカリしだしてる。
しかし早川くんは気にせず、また桜田さんに抱きつく。
「桜田さん、でもよかった。こうしてケイタとここにいるってことは、はじまるのね。
2次元PCマザーを攻撃、私達やケイタたちの3次元も支配しようとしている
ICHIJYO削除計画。」
「その通り。ケイタ、これから深夜は忙しくなるわよ。」
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