第8話 フィギュア早川くんの友達
僕らはANIMEとーに入った。
「じゃあ、あとでな。」
「おー。」
「じゃあ。」
ここはオタクにとってはパラダイス。
もちろんアキバ、には負けるが一通り、
各専門分野のデープグッズの品揃え充実している。
フトシは早速モフモフのピロちゃんフロアーへ。
シュウジは超合金ロボットGの
ピカピカフロアー。
僕は迷わずゲーム3階。えっ?「上だよ。」
誰かの声。
店内は少しざわついている。声があらゆるところから聞こえる。
が聞き間違いじゃないな。たぶん誰かが僕を呼んでいる。僕は上へ階段を上った。
狭い階段。すれ違いざまにぶつかりそうになる。肩があたる。柔らかい。えっ?
「一条?」フードをかぶりマスク姿。
目元だけが見えている。
そんなわけないか。一条は、ヒヨリたちと池袋Sのショッピングモールの中だ。
いけない。たぶん。僕は脳内が疲れているらしい。
さっきの声も幻聴か。僕は上がりかけた階段をやめた。降りようと向きを変えた時に
「早く来て!」怒った声だ。なんだ?
クソー。聞こえた。大丈夫か僕は?
僕は一気に階段を上がった。フロアーの奥。
足が勝手に動く。
誰だ?僕を呼ぶのは?
ショーケースの前に来た。
「やっと来たか。」フィギュアの早川くんが、いっぱいだ。
僕は早川くんをアキバで買った。
ゲームの主人公。美少女キャラクター。
ショーケース。僕の横にはオタクら、購入者のご主人様達がかなりいる。
もちろんフィギュアは、大半が機械でつくっている。ペインティングは手作業だ。
どの早川くんもクオリティは高い。
正義の味方。美少女早川くん。
「はい。はい。もういいでしょう。
こっちを見なさい。ケイタ。」
脳内にあの声が。「こっち。こっちよ。」
上段の左端から声。
「早川くんのライバル美少女桜田くんだ。」
「はい。はい。やっと来たな。ケイタ。」
脳内に声が響く。
僕は周りを左右に首を振ってキョロキョロした。
誰も美少女桜田くんの声が聞こえないし。
反応もない。
「僕にだけ?聞こえるのか?」「そうだ。」
「なんで僕を呼んだんだ。」
「なんでって。こっちのセリフだ。
ケイタ、お前は浮気性だな。
なぜアキバで早川だけを購入したんだ。恋人の私を忘れるとはひどい話だ。」
「桜田くんが、恋人?誰の?」
「ケイタ、お前に決まってるじゃないか。」
「初めましてで、ましてやフィギュアのお前が僕の恋人?」
「忘れたのか?小6の夏。アキバで出会ったぞ。」
確かに、この早川くんや桜田くんがでている
ゲームは歴史が古く。
確か初版がラノベ。次にゲーム化された。それに去年は映画化もされている。
僕がはじめてこのキャラたちに会ったのは小6の夏のアキバだ。
兄貴に連れて行ってもらった。
兄貴がこのキャラにはまっていた。
僕は読めない漢字もあったが何とか兄貴のラノベを読んでいた。
そしてアキバ、デビュー。そこで形になった
フィギュアたちに出会ってしまった。
本は途中まで読んでいた。主人公の早川くんに会いたくて仕方なかった。
もちろん小学生には買えなし、見ているだけだった。
「あっ、思い出した。その時、早川くんのライバルの桜田くんのフィギュアが、ショーケースの真ん中にドーンとおいてあった。
数では早川くんにかなわなかったが、その存在感と美しさは小学生の僕にも伝わった。
恋?愛?とにかく、その時の桜田くんのフィギュアの美しさに心を持ってかれた。
「そうだ。その時、言ってたな。
恋人は桜田くんだと。あれ?そうだ。
今まで忘れていた。ごめん。」
「ごめんだけかい!」
「ねえ、それよりなんで僕を呼んだのさ。」
「決まってるじゃないか。PC内パトロール隊は私がそろわないと始まらないわよ。
だから、早く私を買いなさい。ケイタ。」
「えっーーー!」
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