第3話 ネット情報回避は2次元

そう言えば明日の池袋・・

「どうした?池袋がなんだって?」

「フトシ、今日は何日だ?

いやなんでもない。」

「どうした、ケイタ。今日は9日。

土曜日だ。ほら一限目から体育だ。

オタクの僕らにはつらい一限目だ。」

「そう、そうだったな。」

基本僕らオタクは深夜遅くまでネットをしている。

貧血女子のように朝に弱い奴が多い。

『10日、池袋でひったくりか。』

ネットニュース。未来のことは書かないしな。

『・・・ありました。』だったよな。

きっと僕の見間違いだろう。

それに昨日は、変なフィギュアの早川くんの人型を見てしまったしな。

僕らは校内へ。

後ろから、キャアキャアと女子の声。

車に引かれかけの一条とヒヨリを囲んで来ている。

「ヒヨリ、一条くんと一緒でよかったわね。

とっさに一条くんが、かばってくれたんでしょう。」

「いいよね。ヒヨリ。命を救ってもらって

まるでお姫様様よね。」

一条の声「そうさ。ヒヨリを守ることで精一杯だった。」

「一条の嘘つきめ。」

しかし、人間の脳は不思議なもので

嘘も本人が本当だと思ってしまったら

本当になる。

『なるほどな。』

集団が僕らの横を通り過ぎる。

ヒヨリが僕を見た気がした。

僕は目をそらす。

僕は関係ない。

チャイムがなりいつもの日常がはじまる。

「体育か。」

「ケイタ、寒いな。」

ドスンとフトシが,じゃれて僕の背中に乗る。

「フトシ、やめろよ。重いぞ。

お前は名前の通り、重いんだからな。」

僕は背筋をつかってフトシを払いのける。

シュウジが「しかしケイタ。

お前はオタクのくせに筋力はあるし、

体育会系よりすごいぞ。まさにその筋力。」

「そっか?PCのキーを叩きすぎて

指先の筋力には自信があるけどな。背筋は?

シュウジ、お前の方こそ指先筋肉すごくないか?」

フトシが、またからむ。

両手を広げて「見て見て。

僕のこの手。筋肉すごいだろう。」

僕はフトシの頭をごつん。

「ばーか、お前のは

肉だ。肉だ。筋肉じゃない。」

ピピっと笛がなる。

「集合!」

今日はグランドでランニングのようだ。

どうやら冬場の恒例の高校駅伝大会の

練習のようだ。

「どうせ、陸上部がでるんだろう。」

フトシがまたぼやく。

シュウジが「いいじゃないか。女子と一緒の体育なんてめったにないしさ。

走るのがんばっちゃおうかな。」

フトシが「シュウジ、浮気は許されない。僕ら2次元同好会はどうなる。

3次元に惹かれるな。」

シュウジとフトシが抱き合い。「おー、同志よ。」

「ばーか。お前ら走るぞ。みんな走りだしてるぞ。」

僕らはみんなに後れを取りながらもグランドを走った。途中、周遅れの僕らは一条に抜かれた。一条は僕らを少しも気にすることもなく、目の前を走る女子達に

「君達、大丈夫?」と軽く声をかけて走りさって行く。

『いやな奴だ。』

シュウジが気づき「どうした?ケイタ。」

「いや、大丈夫だ。なんでもない。」

僕はふっと昨日の夜の幻を思い出した。

もしかしたら。

「なあ、昨日さ、早川くんが人型になって僕のPCをいじってたんだよな。」

フトシが真面目な顔で「へえー、フィギュアの早川くんか。ケイタ、やっとお前もその域にたっしたか。

僕なんかとっくにピロちゃんは人型で深夜PCでパトロールしてるよ。」

僕は当たり前のように話すフトシの話に固まった。

シュウジも「僕はロボットGが人型になるよ。」

フトシが「ケイタ、フィギュアの早川くんへの愛情が足りなかったんじゃないか?

でもまあ、人型でケイタの前に出てきてくれたってことは、信頼関係ができたってことでいいことだな。」

シュウジが「フトシ、何を上から目線で言ってるんだ。」

「悪い、一度言ってみたかったんだ。このセリフ。」

「なんだよ。それ。」僕は走りながらひじでフトシを突っついた。








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