第6話

「やっと告白するか。遅いんだよ。お前は」

波音はそう言って克樹を見つめた。

その日の練習が終わった後、部室の中には波音と克樹しかいなかった。

「お前、本当に安倉梨花が好きなんだな」

克樹の表情は真剣である。

「どうしてそう思うんだ?」

「お前のタイプじゃなさそうだから」

一瞬、克樹の言葉に波音の心が小さく揺れる。

「好きじゃなきゃ付き合ったりしないよ」

波音はあっさりと答えた。

心の中のさざ波は見せない。

「小川はさ、ずっとお前が好きだったんだよ。ちゃんと告白しろよ。克樹」

波音はそう言うと柔らかな笑顔を見せた。

「分かった。もう何も言わないよ」


「小川。俺、ずっと前からお前の事が好きだった」

屋上で宮本克樹は、小川真愛に想いを打ち明けた。

「ありがとう。嬉しい…… 」

真愛も赤くなって俯いていた。

「俺と付き合ってくれるか?」

「はい」

こうして1組のカップルが誕生したのである。


俺が梨花を選んだ理由は絶対に好きにならない女だからだ。

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