第12話
静かな音楽が流れていた。
室内も照明を落としてある。
店内には芳醇なコーヒーの香りが漂ってとても落ち着く。
悠乃と篤哉は、2人席に向かい合って座っていた。
「この間の返事だけど、どうかな?」
「あの……1つだけいいですか?」
悠乃は口を開いた。
「何?」
「この間の方は彼女ですか?」
「あーモデルクラブの友達。彼女はいたけど別れた」
「え?」
悠乃は弾かれたように、篤哉を見た。
端正な顔立ちである。
こんな素敵な人が本当に私の事を……
「君を好きになったから」
篤哉ははっきり言った。
悠乃は動悸を抑えきれない。
「俺と付き合って欲しい」
「私なんかで……いいんですか?」
悠乃は頰の火照りが顔中に移動して、顔が熱くなっていた。
「君に言っているんだ」
篤哉の表情は真剣そのものである。
「はい。私で良ければ」
悠乃は胸の高鳴りを抑えながら、そう言ったのである。
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