第8話

猫がどんどん膝の上に乗って来る。

萌は嬉しそうに猫を抱いたり、餌をあげたり、頭を撫でたりしていた。

「猫、飼ってるの?」

「うん。三毛猫。白河君は?」

「ウチは犬を飼っているんだ。ゴールデンレトリバーのルル」

「へえー。ウチの猫はすずって言うの」

萌は抱いていた猫を床に降ろした。

「猫はあんまり好きじゃない?」

「だったら此処へは来ないよ」

「良かったー」

萌はホッとしたように胸を撫で下ろした。

「片桐の好きなものは何?趣味とか」

「私、Be Loveのファンなの。だからコンサートとか行く」

「俺もBe Love好きだよ。兄貴が好きでさ。聴いているうちに好きになった」

「私、"土曜日の放課後"が好きなの」

「俺は"ジュリアンハート"」

「最高!」

萌は思わず声を上げた。

笑顔が零れ落ちる。

「今度、コンサート行こうな」

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