第4話
幸は夢見心地で家に帰って来た。
だが、家に帰った途端に、その気分は吹き飛んだ。
「幸、お前、砂糖入れ忘れたね」
「は?」
帰って来た早々、母が言った。
「お前が昨日作ったクッキーよ」
「嘘!」
幸は信じられなくて、早速台所にあったクッキーを食べた。
間違いない。
味は粉っぽくて不味かった。
「どうしよう…… 」
幸は唇を手で覆うと、階段を駆け上がった。
2階の自分の部屋に入ると、幸はベッドに倒れこんだ。
「妹尾君、あんな不味いもの、黙って食べてくれたんだ…… 」
幸は胸が熱くなって涙が止まらない。
嬉しさと申し訳なさと、情けなさがリミックスされた感情を自分でもどうする事も出来なかった。
「明日、なんて言って謝ろう…… 」
涼真はサッカー部である。
グランドには涼真目当ての女の子が山程いて、黄色い声を飛ばしている。
それも当然だと幸は思った。
あれ?
涼真は何気なくギャラリーの方を見た。
氷室幸がいる。
サッカーに興味があるのかな。
それとも……
涼真はボールを蹴っている筒井を見た。
まだ筒井の事が忘れられないんだな……
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