第3話

翌日の昼休みが来た。

涼真は教室で友人達と話が盛り上がって笑っている。

幸は涼真を気にしつつ、友人と話をしていた。

今日は無理かな……

そう思っていた所、涼真が席を立った。

屋上へ向かっていた。

幸は後を追う。

昼休みの屋上は陽射しが照りつけて、2月でも気持ちがいい。

「妹尾君」

屋上に出た所で、幸は涼真に声を掛けた。

涼真は後ろを振り返った。

「ああ、氷室。何?」

「あの、これ、昨日のお礼」

幸はおずおずと緑の紙袋を渡した。

「え?」

涼真が驚きの顔になる。

「何のお礼?」

「私のために怒ってくれて……それが凄く嬉しかったから」

「…… 」

幸は半泣きになっている。

「当たり前の事をしただけだけど?」

涼真はポカンとしている。

「当たり前じゃないよ……!初めてだったから、あんな風に怒ってくれた人。友達だって相談しても半笑いで、アンタのその顔なら言われても仕方ないって感じだから…… 」

幸は必死に涼真に訴えた。

「だから、本当に嬉しかったの」

「……みんな、見る目ないな」

涼真が言った言葉に幸はまた驚いている。

「え?」

「ありがとう。開けていいか?」

涼真は早速袋を開けた。

中にクッキーの入った可愛いビニール袋が入っていた。

「もしかしてこれ手作り?」

涼真は驚いて幸を見た。

幸は黙って頷く。

「うわぁ!ありがとう。早速食べていい?」

涼真はそう言うと、幸の目の前でクッキーを食べた。

「…… 」

「如何かな?」

「美味いよ。これ」

涼真はクッキーを全部食べた。

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