第4話
こうして日曜日の朝、笑里は愛永の家を訪れ
た。
「まずは宿題片付けるか」
愛永の部屋は、全体的にグリーンで纏まっている。
グリーンのカーテン。グリーンのカーペット。白木のタンス、ベッド、学習机、テーブル。
笑里と愛永が机に向かい合わせに座った所へ兄らしい人が紅茶を持って来た。
「ありがとう。お兄ちゃん」
愛永がそう言って手で言った。
あれは手話だろうか。
「ありがとうございます」
笑里もお礼を言って顔を見た。
かなりのイケメンだ。しかも何処かで会った事があるような気がする。
男の子は黙ってカップを2つテーブルの上に置いた。
「どうしたの?笑里」
男の子は部屋から出て行った。
「ごめんね。兄は耳が聞こえないの」
「ひょっとしてだけど……お兄さん、森田心って言うんじゃない?」
笑里は気がついた時にはそう言っていた。
「そうだけど、笑里、お兄ちゃんを知っているの?」
愛永は驚きの目を笑里に向けた。
笑里はケータイの待ち受け画面を開いて見せ
た。
そこには白雪姫の笑里と8歳ぐらいの可愛い王子様が笑顔で顔を並べていた。
「この人、そうよね」
「お兄ちゃんよ!」
「あの……耳が聞こえないってこの時は大丈夫だったのに」
「うん……9歳の時にね。急に聞こえが悪くなって全く聞こえなくなったの」
愛永の声は沈んでいる。
「そうだったの…… 」
笑里はケータイを閉じた。
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