第19話

「開、お前何やって…… 」

楽屋のドアが開いて将真が出て来る。

「将真、覚えてないか?高校の時一緒だった姫野奈緒」

「姫⁈本当に⁈あんまり綺麗になったからビックリした!」

「服部君こそカッコ良くなったよ」

「この後、なんか用事ある?なければ再会を祝してお茶でも飲まない?」

「うん。いいよ」

「じゃあ、着替えて行くから表で待ってて」

将真はいそいそと部屋の中に戻って行った。


「凄いね。夢叶えて漫才師になっているんだから。面白かったよ」

「ありがとう。姫こそ今、何やっているん

や?」

「看護師なの。なにわ中央病院の外科にいる

よ」

「看護師。ぴったりだよ!なあ開」

将真はすっかりテンションが高くなっていた。

「ああ」

開は殆ど会話に入らない。

入らないではなく、入れなかった。

奈緒と再会して胸がドキドキしていた。

高校の時も可愛かったけど、卒業して5年経って更に可愛く美しくなっている。

俺を好きだと言ってくれた唯一の女の子。

「なあ、姫は恋人とかいるん?」

将真が言うと奈緒は恥ずかしそうに頷いた。

「服部君は?」

「いるよ。まあ当然でしょう。問題はコイツ。全く女に縁がない」

将真はそう言って開の肩を抱いた。

「いいんだよ。俺には漫才があるから」

開の言葉を聞いて、奈緒は柔らかな笑顔を見せた。

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