第18話

劇場に奈緒がいた。

風の噂で開が将真とコンビを組んで、漫才師をしていると聞いたのである。

奈緒は2人の漫才を聞きながら笑い、懐かしさに目を細めた。

やっぱり結構変わっちゃったな……

福山君。

ライブが終わった後、奈緒は楽屋を覗いた。

すると楽屋のドアが開いて開が出て来た。

「福山君」

奈緒はドキドキしながら声を掛けた。

「誰?」

「お、覚えてないかな。高校の時一緒だった姫野奈緒」

奈緒が名前を言うと、開は驚きの眼差しで奈緒を見ていた。

奈緒はびっくりするほど綺麗になっていた。

ポニーテールはハツラツとしたショートカットに変わっている。

「久しぶり。ライブ観に来てくれたの?」

「おめでとう。凄いね。本当に漫才師になったんだ」

「うん」

「では花束をどうぞ」

奈緒はそう言うと開に花束を渡した。

高校卒業以来、まさに5年ぶりの再会だった。

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