第6話
学園祭で体育館の生徒達は大いに湧いた。
ギターを弾いて歌っているのは開である。
開は替え歌を作るのが好きで、出し物に個人参加をしていた。
今もマイクの前で替え歌を披露していた。
生徒達は腹を抱えて笑っている。
将真は一人笑わずに、真剣な表情で開を見ていた。
「俺とコンビ組めへんか?」
剣道部が終わり部室で着替えた後の事である。
既に他の生徒達はいない。
「俺、漫才師になりたいんや。そやけど漫才は一人では出来へん。お前漫才師になる気ないか?それでコンビ組もうや」
突然の将真の言葉を聞いて、開は驚き過ぎてただ呆然としていた。
「漫才師……?」
「そうや。お前、相当にオモロい。あの替え歌。みんな大爆笑やったし」
「だって……俺、こんな顔やし。笑わせる事しか出来へんから」
「福山。それって凄い事やで。人を笑わせるって最高やん。それに漫才師ならお前のその顔は寧ろ武器になる」
「この顔が?」
「そうや。福山、俺本気やで。考えてみてな」
将真はそう言うと部室から出て行った。
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