第2話

「そりゃ災難だったね!さやか」

「全く自分の顔見て言えっていうの。あー思い出しても身震いがする!」

開が教室に帰った時にはさやかがみんなに言いふらして同情を買っていた。

「開、お前それはあかんやろ。その顔で女が寄り付く訳無いやん」

「そうそう。告白なんて、お前には縁ないからさ」

クラスメイトの男子もそう言って笑った。

開は何も言えずに唇を噛み締めていた。

さやかはまだ女友達にキモいを連発している。

その時である。

「キモいって何や!もう一辺言ってみい!」

一人の男子がさやかに詰め寄った。

「お前が福山を好きになれないのは個人の問題だから何も言わんわ。そやけど、キモいって何や。真剣にお前に向かっている奴に対してキモいって何や言うてるんや!」

服部将真である。

開とは同じ剣道部で、顔はかなりのイケメンで女の子の人気も高い。

さやかも周りの女の子もびっくりしてしまって声も出ない。

「それ言われた方がどんな気がするか。人の心を土足で踏み躙りやがって」

「酷い…… 」

さやかはとうとう泣き出した。

「酷いのはお前の方やで。泣けば済む思うたら大間違いや。ほらちゃんと謝れ」

さやかはまだ泣いて女友達に抱きついている。

「謝れ言うとんや」

将真には迫力があった。

先程まで笑っていたクラスメイト達も全員息を詰めてこの状況を見守っていた。

「服部、もういいよ」

開が将真を止めた。

だが将真は全く引く様子はない。

「ほら、早よう」

「ごめんなさい…… 」

さやかはそれこそ蚊の鳴くような声で言った。

「聞こえへんわ!ちゃんと謝れ」

「ごめんなさい」

さやかはそのまま教室から飛び出して行った。

女友達が追いかけて行く。

あーあ、アイツ。服部の事好きだったのに……

「気にするなよ。福山。あいつにお前は勿体無い」

その後、将真はクラスメイト達を一睨みするとそのまま平然と自分の席に着いた。

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