第28話
日高七海は足元の缶を思わず蹴った。
バッグを後ろ手に持ち、首はガックリと垂れている。
またオーディションに落ちてしまった。
冷蔵庫には2次審査合格のお祝いにトンカツ用の豚肉を買ってある。
七海は何故か2次審査を突破出来なかった。
「1人で食べるのも味気ないしな…… 」
七海はケータイを手に取った。
「美味しそう……!」
麻紀はちゃぶ台の上の料理を見て言った。
白ご飯にトンカチが1枚、山盛りのキャベツにマカロニサラダだ。
麻紀と七海は1枚のトンカツを2人で分けて食べていた。
「あーもう!どうやっても2次予選を通過出来ないのよねー」
七海はご飯を口に放り込みながら言った。
「私もオーディション通った事がない。劇団に来る端役ばかり」
「麻紀は最終審査に残った事があるじゃない。私は劇団の公演でも脇役の1人」
七海は劇団あすかに所属する女優である。麻紀とはオーディション会場で知り合い、話すうちに仲良くなった。共に人気女優を目指している点も一致していた。
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