第27話

オーディションを受けると、麻紀はすぐにバイトに行った。今日は午後5時から入る事になっていた。

夜になって、藍崎と坂口が店にやって来た。

「一次審査受かったんだってね。おめでとう」

藍崎が言った。

「どうしてそれを?」

「事務所に連絡が入ったからね」

「あの……」

麻紀はポケットからメモを出すと、藍崎に渡した。

そしてそのまま行ってしまった。

「何だって?」

坂口が興味深そうに見る。

「え?」

そこにはこう書いてあった。


"藍崎さん


メモ有難う御座いました。

ですが番号が書かれていなかったので……

私の番号を書きます。

お時間のあるときにお電話ください。


098-765-4321


夏目麻紀"


藍崎は顔が真っ赤になった。

「藍ちゃん、馬鹿すぎ!そりゃ連絡来ない

わ!」

坂口が豪快に笑った。

「俺って抜けてるよな…… 」

藍崎はそう言って萎れている。

「まあまあ、そこが藍の可愛い所だ」

坂口は笑いながら言った。

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