第29話

七海と話していると、麻紀のケータイが鳴っ

た。

「はい、夏目です」

『藍崎です。先日は失礼しました』

「いいえ。すみません。今、友達と一緒なので後から掛け直してもいいですか?」

『それはすみません。では後ほど』

電話を切った途端に、七海が麻紀の首を抱い

た。

「今のは誰?彼氏?」

「まあ、そうなるかも」

「何よ。その曖昧な返事は」

「初めての電話なの」

「何よ。それを切っちゃったわけ?ダメよ。直ぐに掛けて」

七海が麻紀を急かす。

「今は七海と話したいのよ」

「私は先に電話済ませてくれた方が落ち着いて話せる」

「じゃあ、掛けていい?」

「もちろんよ!」


麻紀はドキドキしながらケータイのボタンを押した。

『はい、藍崎です』

「な、夏目です。先程はすみませんでした」

『いいえ』

「それで、あの…… 」

『一度一緒に食事をしませんか?』

「はい。何時、何処へ行けばいいですか?」

『では4日後の17日の午後11時にラグラグでどうでしょう?』

「はい、分かりました」

『それではまたその時に。おやすみなさい』

「おやすみなさい」

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