第19話

「緊張したみたいですね。大丈夫ですか?」

藍崎が車を運転しながら言った。

「矢崎さんと話が出来ると思っていなかったので…… 」

麻紀は少し緊張が解れていた。

「自宅まで送りますね」

「すみません。有難う御座います」

「夏目さん、東京じゃないですよね。何処ですか?」

「金沢です」

「いい所ですね。俺は長野なんです」

「おやきが美味しいですよね」

「丸ごとの林檎が入ったパイも美味しいです

よ」

「わあ!そんなの食べた事がないです!」

話しているうちに、車は麻紀の自宅アパートの前に着いていた。

「今日は有難う御座いました」

「いいえ。楽しかったです」

「それでは」

麻紀は車を降りると、アパートの階段を上がって行った。

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