第16話

麻紀にはマネージャーはいない。

自分で地下鉄で撮影現場へと向かう。

今度は矢崎翔真のドラマに友人の姉役として出演する事になった。

台詞は5つ。

試験勉強に来た主人公と弟に勉強を教える。

麻紀はドキドキしていた。

矢崎翔真の実物に会える。

「友人の姉役の夏目麻紀です。今日は宜しくお願いします」

麻紀は緊張していた。

「そんなに緊張していたら身が持たないよ。矢崎翔真です。宜しく」

「あれ、夏目さん。そうかこのドラマに出るんだね」

藍崎が声を掛けて来る。

「何、藍、知り合い?」

「お前な、同じ事務所の夏目麻紀さんだ」

「え?同じ事務所⁈」

翔真は今、初めて知ったのか驚いている。

「ごめんなさい。知らなくて」

「いいんです。まだ新人だから」

麻紀はすっかり恐縮している。

「じゃあ、お互いに頑張ろうね」

「はい。有難う御座います」

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