第11話

「姉さん、少し瀬名甘やかせ過ぎじゃない?瀬名がスケートしてるものだからうちの子達もスケートやりたがって困ったんだから」

母親の妹の加代子が嫌味めいた物言いをした。

「ウチの人はそんな甲斐性ないしね。未だに言うもの。スケート番組なんか見てたら、私も習ってたら此処に出れたのにってね…… 」

「加代子」

「スケートで上に行ける人なんてほんの一握りなんだからね。姉さんもほどほどにしておかないと」

「瀬名が上に行けるかどうかは分からないけど、あの子のやりたい事を思い切りさせてやりたいと思ってるわ」

母親の細布子がそう言った。

「1人娘だからって甘やかせているのね」

「スケートはなかなか大変なの。朝は4時半に起きて早朝練習があるし、もちろん学校が終わった後も練習練習で。毎日頑張ってるわ。中途半端な気持ちじゃとても出来ないわよ」

細布子が言うと、加代子は黙ってしまった。

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