第10話
瀬名は無論そんな事は知るわけもない。
全日本選手権に向けて益々張り切って練習を重ねている。
全日本選手権はシニアの試合なので、プログラムを30秒伸ばしている。
瀬名はその曲を踊り続けていた。
午後8時が来てリンクサイドに母親の姿が見えた。
「お母さん、ごめん。後5分だけ」
「ダメよ。瀬名。今日はもう十分だから上がりなさい」
母親はそう言って瀬名を止めた。
そうしないと、何時間でも踊り続けているからだ。
「はーい」
瀬名は渋々リンクサイドに戻って来た。
エッジカバーを付けて更衣室に向かって歩いて行く。
「何処がそんなに納得出来ないの?」
「トリプルルッツが決まらないの」
瀬名は苦い顔で言った。
「明日には跳べるようになるかもよ」
「そうかな」
「そうよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます