第19話

「ゆらら!聞いて!芹沢君がね。うちに来たいって!」

その日は、放課後からドラマの撮影が入っていた。

午後10時に自宅に帰った途端、愛はトイプードルのゆららを抱きしめた。

「日曜日、楽しみだなー」

愛は大好きなペールピンクのソファーに座ってゆららと遊んでいる。

「いけない。新しい台本貰ったんだ。覚えなきゃ」

愛は鞄の中から、真新しいドラマの台本を取り出した。


「そうですか。彼と初デート。逢うのは自宅ですよね」

悠は念を押した。

日曜日は朝の8時からドラマの撮影があり、悠と愛は現場に向かっていた。

「うん。うちに来る事になってる」

「呉々も外では会わないようにして下さい。何処でファンが見ているか分かりませんから」

「外山、心配し過ぎじゃない?私、河島梨香みたいな超人気アイドルじゃないし」

愛は後部座席から身を乗り出した。

「愛はもう少し人気スターとしての自覚を持って下さい」

悠は冷静な口調で言った。

「分かった。デートは自宅だね。そうする」

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