第4話

「ねえ、外山」

「何ですか?」

移動する車の中で、後部座席に持たれていた愛が不意に口を開いた。

「男の子って誕生日プレゼント何がいいかな」

「彼は何をしている人なんですか?」

「フィギュアスケート」

「ではマイボトルに冷たい飲み物を入れてあげたら如何ですか?」

愛は思わず身を乗り出した。

「3日後が彼の誕生日なの」

「3日後でしたら、午後から学校に行けます」

悠はハンドルを回しながら、穏やかに言った。

「本当?」

愛が喜びのあまり声を上げた。

「はい」

愛は頰が紅潮し、身体全体に喜びのオーラが滲み出ている。

悠は信号待ちの時にその姿を見て、微笑ましい気分になった。

「マイボトル買わないとね。どんなのにしようかなあ」

愛はもうワクワクしている。

それは次のテレビ局に着くまでずっと続いていたのである。

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