エピローグ

第45話

「明和大学、2区を走るのは4年生でキャプテンの宮本歩希です!1区で5位だったのを2位にまで押し上げました!」

大歓声の中、歩希は走っていた。

月日は流れ、再び箱根駅伝の時を迎えていた。

歩希が走っていると、沿道にいる人達の中に咲香の姿を見つけた。

「歩希!頑張って!」

歩希は弾けるような笑顔で手を上げて答えた。

そのまま、凄いスピードで走り抜けて行った。

これが最後の箱根駅伝である。

歩希はしっかりと前だけを見て走り抜いた。

両親に、親友に、友達に、恩師に。

そして愛しい咲香に。

歩希は走る事で感謝の気持ちを伝えた。

そして3区の阿部に襷を繋いだのである。


「見事、2区の区間賞に輝きました宮本歩希選手です。今のお気持ち聞かせて下さい」

インタビュアーが歩希にマイクを差し出す。

「箱根で2区を走るのが目標でしたので、それが叶い、区間賞を頂けて本当に嬉しいです」

「見事に3人抜いて、2位にまで押し上げましたね」

「後を走るのが阿部なので心配はないのですが、後続の選手達が少しでも楽になるようにと走りました」

「ありがとうございました。以上、2区で区間賞を獲った宮本選手でした」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る