第9話

もう桜は葉桜になっている。

花びらは歩道の上に散らばり,流れる川はピンクに染まっていた。

その道を歩いてスノーホワイトのドアを開けると鈴の音がして物静かな店内に入るといつも通りマスターの姿が見える。

「おー真輝、今日もよろしくな」

マスターはそう言って明るい笑顔を見せる。

「こんにちは。マスター」

まだ店内にはマスターと真輝の他には誰もいない。

静かな空間の中にコーヒーの芳醇な香りが漂っている。

真輝が香りに包まれながら黒いエプロンを付けていると,それをぶち壊すようにいきなり鈴の音と共に扉が開いて二人連れの女子大生が入って来た。

「マスター。真輝いる?」

「いらっしゃいませ」

真輝が柔らかな笑顔を向けると女子大生が声を上げる。

「真輝ー、今日も素敵!」

「今日,バイト終わったら時間ある?」

真輝はここでも毎日のように口説かれる。真輝はそんな事にはもう慣れている。愛のないSEXをしたのだって1回や2回じゃない。大学生だけではなく、社会人の大人の女だって経験はある。バイトの後はクラブで遊ぶ。真輝は魅惑的で大抵高校生には見られない。だからターゲットはかなり遊んでいる年上の女だ。高校生の女子なんてガキっぽくて抱く気にもならない。

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