第19話

同じ日曜日、練習を終えた後、陽乃と俊介はデートしていた。

映画館でもうすぐ上映されるのを待っている。

俊介は全日本選手権で3位だったため、世界選手権と四大陸選手権の代表になっている。

2月に入れば集中練習の為に学校へ行く事も出来ない。

だから今のデートは俊介にとってとても貴重な時間だった。

陽乃は柔らかな笑顔で俊介を見ている。

俊介は愛おしくて陽乃の頭を抱いた。

そして場内が暗くなり、映画が始まった。


映画の後は喫茶店に入った。

2人とも甘いものは食べられない。

だから砂糖なしのダージリンを飲んでいた。

「映画、面白かったな」

「うん」

2人はお互いの顔をじっと見つめている。

「リンクは借りれそう?」

青葉スケートセンターのリンクは平日は午前10時から午後4時まで一般開放しているのだ。だから集中練習の時には車で1時間ほどの場所にある大学のリンクを借りている。

「ああ、大丈夫だよ」

「良かった」

陽乃と俊介は殆ど視線を外さない。

漸くまたダージリンを飲む。

もう冷めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る