第7話 ガイアの章:クエスト編

声の先には髪の長い人が居た。

「おまえはいったい?」

「自己紹介はあとあと、身体は楽になっただろ?早く残りのゲルを倒すよ」

そういうと氷を飛ばしてゲルを倒しだした。


確かにさっきまでと違いいつも通りに動けるようになっている。

残りのゲルを一緒に倒した。


ガイアの章:クエスト編


「毒の沼地に来るのに、毒消しも用意してないだなんて、あんたも無謀なやつだねぇ」

呆れた顔でこっちを見ている。

「助かった、礼を言う。オレはガイア。おまえは?」

「私はルーナ。で、こんなところに何しにきたのさ」

「実は・・・」

これまでのいきさつを説明した。

「あっきれた。あんた強そうなのに無計画と言うか無謀と言うか。もしかして天然?」

返す言葉が無い。


「まぁいいや、私もそろそろナトリに戻るつもりだったし、ついといで」

言われるがままについていった。


さっきの別れ道まで戻ってくると右の道を進んでいった。

そうか、右の道が正解だったのか。

「で、ナトリに行ってなにするの?」

「ナトリのギルドに行って紹介状を見せろと言われた。そこから先は考えてない。」

「ふーん。ギルドにはいろんな依頼があるからガンガン解決しちゃってよ。社会勉強と思ってさ」

「ちなみに、ルーナは何故あそこへ?」

「んー、あの先にある洞窟にお宝探しに行ったんだけど、途中で魔法が効きづらいモンスターが居て仕切りなおしってわけ」


たわいの無い話をしながらしばらく道なりに進むと大きな街が見えてきた。

タスト村とは比べ物にならないぐらい大きい。

ギルドの規模も段違いだろう。


「到着~。ついでにギルドまで案内してあげる」

ギルドまでの移動中に街中も案内してくれた。

口調はきつめだが根は親切な人のようだ。


「はい、ここがギルド」

立派な建物だ。

ルーナが扉を開けた。

真ん中に机を置いてるだけの名ばかりのうちのギルドと大違い。

壁には依頼がびっしり。

机と椅子がいくつか部屋の中にある。


カウンターの向こうに居た人が声をかけてくる。

「ルーナか。お宝は見つけられたか?」

「いやー、それが魔法が効きづらいモンスターが居たから諦めた。っていうか、先に言っておいてよ。」

「おまえが説明を聞かずに飛び出すから悪いんだ。で、後ろのやつは?」

「違うお宝を見つけてきた。新入りさんよ」

「タスト村のガイアです。セイドさんからギルドに行ってコレを渡せと言われました」

そういって、紹介状を渡した。

「ふむ、なるほど。セイドらしいな。オレはここのギルドを仕切っているロキだ。今日からオマエもギルドのメンバーだ」

「あ、はい。よろしくお願いします」

ぺこりとお辞儀した。


ここのギルドの規則を聞いた。

とはいえ、基本的にはどこも同じ規則だ。

依頼の数と内容は段違いだが。


「で、ガイア。今日は行くあてあるの?」

ルーナが聞いてきた。

「あても何もここに来るのも初めてだから」

「じゃあ、私の居る宿においでよ。世間知らずの剣士さんに色々と教えてしんぜよう」

「おい、ルーナ。ほどほどにしておけよ。ガイアと言ったか、ルーナに振り回されないようにな」

「は、はぁ」

言われるがままにルーナについていった。


「あー、疲れた。とりあえず私、汗流してくるからのんびりくつろいでおいて」

宿の部屋に入るなりルーナが服を脱ぎながらそう言ってきた。

「ちょ、おまえ、はしたな・・・あれ?」

「ん?どうした?」

こっちを見ながら呆れた顔で言ってきた。

「はぁ、やっぱり私のこと女だと思ってたんだろ」

だまってうなずいた。

「もう慣れっこだ」

そういって風呂場へ向っていった。


椅子に座ってしばらくすると、ルーナが戻ってきた。

「さて、新入りのガイアくん。天然っぽいところはあるけど腕は確かなようだし、私とパーティー組まないか?」

こっちは右も左も分からぬ身。

助けられた恩もあるし断る理由も無い。

「わかった。ルーナよろしく」

「私の方がギルドでは先輩だ。ルーナさんと呼びたまえ」

「あ、あぁ、ルーナさん」

「あははっ。冗談だよ、冗談。ルーナでいいよ、ガイア」

ロキの言った通りだ、完全に振り回されている。


「で、ルーナ。狙ってたお宝ってなんだ」

「んー、盗まれた魔法の書を取り戻して欲しいって依頼だけど、まさか魔法が効きづらいモンスターが居るとは思わなくてさ」

「ロキさんが説明しようとしてたのでは?」

「私そんな細かいこと気にしないタイプなわけ」

いや、そこ重要だろ。

「じゃあ、そのモンスターをオレが倒せばいいんだな」

「そういうこと。天然の割に理解早いじゃないの」

「魔法の効きづらいモンスター・・・ドマシ系?」

「おおー、世間知らずの天然さんかと思えばよく知ってるじゃない」

実物は見た事は無いが本で得た知識は残っている。

「それがさー、ただのドマシじゃなくてドマドマシでさ、効きづらいどころかこっちの魔法を吸収しちゃうのよ」

「なるほどね。手も足もでなかったわけだ」

わざと意地悪に言ってみた。

「毒消し持ってないやつには言われたくないねー」

言い返してきた。

が、意外と気が合うのかもしれない。


「今日はこれぐらいにして、明日再チャレンジするよ!」

「はいはい、よろしくな」


翌日


「出発するよー!」

ルーナは元気いっぱいである。

「あ、その前に、ほいっと」

昨日と同じく身体が光で包まれた。

「ルーナ、これは?」

「毒を無効にする魔法。さ、これで洞窟まで一気に駆け抜けるわよ」

確かに昨日と同じ場所に来ても身体が軽いままだ。


あっという間に、洞窟の前までたどり着いた。

「ここからが本番、いっくよー」

と、掛け声とは裏腹に慎重に移動している。

「ドマドマシの所まで一気にいかないのか?」

「私がそんなに無鉄砲に見えるか?」

やれやれ。


昨日、ルーナがモンスターを倒していただけあって、たまにドマシやバトーが現れる程度で難なく洞窟の奥へと進めた。

「ストップ!」

ルーナが先に進もうとする僕を制止した。

「ガイア、この先にドマドマシが居るの。私は攻撃できないから、あんたに任せた」

「もちろん、そのつもりだ」

「その代わりに、ほいっと」

また身体の周りが光に包まれた。

「これは?」

「速く動けるようにしておいた。それじゃよろしく」


魔法って便利なんだな。

メムロなら魔法使いを目指せてたかもしれない。


先に進むとドマドマシの姿が見えた。

グガガーッ!

何を言っているか分からないが炎が飛んできた。

火球の速度は速いが、こっちも速度があがっているので避けるのはたやすい。


ズバーッ!

グガーッ!グガガーッ!

ズバーッ!

ズバーッ!


火球を乱射してきたがピグなどに比べると防御力は低いのでダメージを与えるのはたやすい。


ザクッ!


止めをさした。

「いっちょあがり、ルーナ、これでいいか?」

「うーん、さすが私が見込んだだけある。やるじゃないかガイアくん」

褒められてるのかバカにされてるのか?

「じゃあ、その調子で残りのドマドマシも倒してね」

「え、ちょ、おま・・・」

奥からドマドマシがぞろぞろと現れてきた。


はぁ、しかたない。


ズバーッ!

グガガーッ!

ズバーッ!

グガッ!


複数のドマドマシ相手だと火球を喰らうこともあったが、ルーナがちゃんと回復してくれている。


「ふーっ。これで終わりかな」

ドマドマシの気配が消えたようだ。


「じゃ、先に進みますか。おったから、おったから」

何事もなかったかのようにルーナが先に進んでいく。


奥まで進むと本が大量に積みあがっている部屋に出た。

「すごい量の本だな。で、盗まれた魔法の書がどれかわかるのか?」

2,3冊パラパラとめくってみたが読めない文字でかかれているので僕には理解できなかった。

久しぶりに本が読めると思ったのだが残念。


「んー」

ルーナは本の山をガサゴソしている。

「あ、あった、これこれ」


見るからにいかにも魔法の書といった感じの本を手にしていた。

「それには何が書かれているんだ?」

興味本位で聞いてみた。

「見てみる?」

そういって、ポーンと魔法の書を投げてきた。

開いてみたが読めなかった。


「読めた?」

ニヤニヤしながらルーナが聞いてくる。

「読めない。ルーナは読めるのか?」

「私も読めないよ。でも古代の書物は貴重だからね」


自分も読めないのになんでニヤニヤしたんだ。

と、言っても仕方が無い。


「じゃあ、ギルドに戻るとしますか」

「そうだな」


ナトリ:ギルド内

「たっだいまー。依頼のお宝取り返してきたよ」

「ん、確かに。報酬はそこに置いてある。」


ルーナは嬉しそうに報酬を手に取った。

「ほい、じゃあ半分こね」

報酬の半分を僕にくれた。

「おまえの依頼なのにいいのか?」

「あったり前じゃない、あんたが居なければ依頼も果たせなかったしね」

意外とちゃんとしているようだ。


「ルーナ、いい相棒を見つけたな」

「えへへ」

ルーナは嬉しそうな顔をしている。

僕もまんざらでもない。


「じゃあ、今日は宿に戻って明日は別の依頼をやろー!」

多少強引なところはあるが嫌味がないところがルーナの魅力なのかもしれない。


ガイアの章つづく

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