第16話 決意

「ロバート叔父さんに電話を繋いでくれ」


“はい。ロバート様に、お繋ぎします”


「やあ航起、どうしたんだい急に、キミから連絡だなんて嬉しいよ。

 ただすまない、今ちょっと手が離せなくてね。

 悪いが、後でこちらからかけ直してもいいだろうか?ってわぁ!」


 爆発音が流れる。


「叔父さん、俺行くよ。今すぐ」


「は?」


「俺、叔父さんのところへ行って、一から勉強をやり直すよ。

 もっと勉強して、研究して……

 どうしても、やりたいことがあるんだ」


「……そうかい。もちろん大歓迎だとも。ようこそ我が研究所へ」


 叔父さんは何も聞く事なく、にっこりと微笑んだ。




渡來航起わたらいこうき氏は、若くして数々の研究成果をあげ、たくさんの発明機器を次々に発表。


また、今まで地球上に存在しなかった、新しい物質を発見し、その有用性を発表。


新しい宇宙資源への可能性を示唆する、論文を発表。


そしてついに彼は、その物質をもとにして、長年にわたって開発していた【タイムトラベル装置】を完成させた。


何度目かの往復実験を行い、学会及びメディアに、同時発表。


その後、忽然と姿を消した。


時は流れ、法律で、時間の干渉および通行制限が、可決。


同時に、それに相反する組織が、暗躍するようになる。


それにより、数人の監視官、時空間監視員が配備される。


違反者の捕縛、および処罰が制定された。


そんな中、全権利を国が管轄することに不満を持つ組織が、故意に事故を起こした。


街を一瞬にして壊滅させた、時空間研究所の爆発。


のちに語り継がれる、“ティオの奇跡”である。

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